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ヒト精子の最大85%にDNA損傷

精子が衰えてきた

2001年6月22日、カナダ、モントリオール

世界中から集まった科学者が、遺伝子に損傷をうけたヒトの精子が劇的に増えていると警告をうけた。

人間は生殖能力を失う方向にあるだけでなく、生殖能力をもった男性の子どもたちに小児がんを引き起こしつつある。

健康な男子が作りだす精子は最大 85% までが DNA に損傷をうけていると見つもられる。

この問題では先端の研究をつづけている専門家が、モントリオールの国際会議であきらかにした。

オーストラリアのニューカッスル大学・生物学部長であるジョン・エイトケン氏 John Aitken は、「きわめて異常です」 と述べる。

「ラット、マウス、ウサギなら、だいたい精子の 80% 以上は正常です」。

この 20 年間、科学者は精子の減少に気をつけてきた。だが今や、ヒトの精子が着実に衰えつつあることに研究者たちが気づき始めている。

ガンや小児白血病だけでなく、新生児障害も引き起こしている可能性がある。

精子の異常は、世界的に精巣ガンが増えている原因になっているとされつつある。

このガンは30代の男性に多い。DNAに損傷のある精子が女性の卵に入ると、胎児の主要な遺伝子に突然変異を起こす可能性があると研究者たちは考えている。

たとえ今のところは生殖能力があっても、精子に損傷をうけると、男の子孫が不妊になる可能性があるとエイトケン氏はいう。

「精液の質が悪くなると、たくさんの病気があらわれるようになるかもしれません」。

農薬や重金属を体内にとりこむことから、電磁波にいたるまで、広い範囲の環境要因が精子の異常をおこしているのではないかと科学者たちは疑っている。

「私たちは祖先にくらべ10倍も多くの電磁波をあびています」 とエイトケン氏はいう。

「私たちが使っている電気製品は携帯もふくめてすべてそうです」。

喫煙で精子に損傷をうけるのは、科学者の一致した見方だし、小児ガンの原因にもなっているらしい。

「あなたが男であるとしましょう。そしてたばこを吸う。あなたの精液はみたところ影響をうけていないように見えるかもしれない」。

さらにエイトケン氏は、「たしかに精子がうようよ泳いでいるし、生殖能力もある。しかし、精子の核にあるDNAはこわれているかもしれないんです」 と語った。

一回の射精には平均8000万の精子が含まれていて、これが卵子を受精させられるよう、遺伝子に情報が組み込まれている。ヒトの精子を調べた科学者たちが発見したのは、精子の数が減っているだけでなく、精子の大半が不活発であったり、形態が不充分であったり、DNAがこわれていたりすることだった。

しかもDNAを破壊するはたらきを持つフリーラジカルという、いわば細胞内のごみが大量に発生していた。

「おしなべていうと、精子のすべてが悪くなっています」 とエイトケン氏はのべる。

たいていの夫婦では、損傷をうけていない精子あるいは、損傷の少ない精子が卵を受精させようとしているのが幸いである。

男子の不妊が増えてきた結果、科学者たちは妊娠を助ける技術を進歩させてきた。

これは細胞質内精子注入(ICSI)とよばれている。

研究室の技師が、父になる予定の男性から一匹の精子を採取し、また場合によっては、これから精子に成長する予定の細胞を採取する。

これをつかって試験管の中で、女性の卵を受精させる。発生した胚を女性の子宮に入れる。

トロント大学付属シナイ山病院のキース・ヤルヴィ博士Dr. Keith Jarvi によると、ICSIの技術は男性の不妊治療に革命をもたらしたが、ICSIでうまれた子どもたちの健康について心配しているという。

他の哺乳類とくらべてヒトの精子の質が以前より貧弱になっているのは驚くべきことではない。

人類は衣服を着る唯一の動物だが、健康な精子は全身の体温とくらべて数度低い温度に保つ必要があるからだ。

ヒトの精子の質が悪くなっていることについて、衣服の責任だけが問われていない、とエイトケン氏は述べている。

2009/12/27

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