健康な遺伝子で元気に寿命を全うする

私たちの寿命は、酸化損傷や老化した細胞が自ら死ぬ「アポトーシス」と関係している。
アポトーシスは生きるための必要不可欠なシステムで、細胞の中にはアポトーシスを引き起こすための「死の遺伝子」がある。
老化や酸化によってアポトーシスが繰り返されると、染色体の両端にあるテロメアが短くなっていくことがわかった。

アポトーシスにより細胞が死んでも、細胞分裂によって新しい細胞に置き換わるが、その分裂の回数には限りがある。
人間の場合、60回であると田沼靖一教授(東京理科大学薬学部)は言う。
つまり、老化以外の原因(活性酸素による遺伝子の酸化)などによって、アポトーシスする回数は、回数券のように使われていき、寿命をまっとうせずに、病によって死に至るということである。
さらに神経細胞や心筋細胞はほとんど分裂せず、耐用年数に限りがある。
こうして細胞に限界が訪れると寿命を迎える。
このアポトーシスが正常に働かなくなった細胞ががんだ。がん細胞は自ら死ぬことなく無限に増殖を続ける。そこで、がん細胞にアポトーシスを起こさせようという新しい制がん剤の研究が始まっている。
こうした新しい薬によって、与えられた寿命を全うできることが期待される。
その一方、いわゆる寿命がない生き物もいる。プラナリアという生き物は、体を切断されても、断片が再び新しい個体になって生き続けることができる。これは全身の細胞に「全能性幹細胞」という、体のどの組織にも分化できる細胞があるためだ。人の細胞をプラナリアのように再び分化前の状態に戻そうというのが再生医療の研究だ。細胞に組み込まれた命の時間「寿命」の研究最前線を伝える。
【出演】 キャスター 安めぐみ
山田賢治アナウンサー
専門家ゲスト 田沼靖一さん(東京理科大学薬学部教授)
コメンテーター 大島まりさん(東京大学教授)
アポトーシスと寿命1
続き>>
続き>>
続き>>
2009/12/25